2012年3月31日土曜日

未来の発明は順調か?振り返りその1

今日24時にドコモのmovaが停波され19年の歴史を閉じます。1993/3/25首都圏を中心とした30キロ平米圏内の狭いエリア(PDC方式)から始まり、最盛期には4440万加入を誇った携帯電話サービスでしたが、後継のFOMA、Xiにその座を譲り、2012/2末時点での契約数344,900件を残すのみとなりました。ちなみに、残契約は停波後、自然解約扱いになるそうです。

NTTの携帯電話サービスは1987/4が最初とされていますが、これは初めて容積400ccを達成したTZ802B型(写真)がそれまでのショルダーフォンと呼ばれたTZ802A型と比較して手で携帯できる事に由来します。実はPDC方式が始まる前のアナログmovaというサービスは1979/12に提供開始されたセルラー方式のアナログ800MHz帯を利用した自動車電話サービス網を利用していたんですね。このあたりの話は仕事柄、本気で始めると長くなるので割愛します。

 
左:TZ-802B、右:TZ-802A

ちなみに国内の無線式電話サービスは1953/8に横浜港などで提供を開始した港湾電話サービスまで遡ることができます。

左からmovaアナログN、D、P、F

本格的に携帯電話サービスの拡販が開始されたのは1991/4に容積150ccを達成した端末の発売を機に冠せられたブランドmova(この時はまだ自動車電話網を利用しています)の登場からとなります。ちなみに保証金制度が廃止された1993年にFを契約して使ってました。かなり通信費負担重かったです。この当時の携帯電話はアプリ、ブラウザはおろかメールすら出来ませんでした。


さてと、なぜ、こんな昔の話を長々したのかと言うと、当時の雰囲気を知ってほしかったからです。1992年当時の携帯電話契約数は1,027,000件、122,894,600件を数える2012年2月と比較すると0.8%強の契約数で携帯電話は持っている人を見つけるだけでも結構難しい状態でした。そんな時代にこんなものを考えて、作り出していた人たちがいたって話がしたかったんです。


1989年制作のSony Palmtopシリーズプロモーションビデオです。この映像だけでも、Siriばりの音声ナビゲーション、手書き認識、ネットワークを介した分散協調といった機能が盛り込まれているのがわかりますね。(そこまで当時実装されてなかったですが)これ、23年前の映像ですよ。ちなみにその5年後1995年に公開されたApple制作の教育シーンを扱った将来予測映像もなかなか興味深いです。




実はここで紹介した映像のほかに、もう一本、将来はこう発展すると力強く予測した映像があったはずなんです。たしか1990年にうちの大学に来たソニーのリクルーター(OBっすね)が開いた会社説明会で上映されて、彫刻(ちなみに武蔵野美術大学造形学部彫刻科だったんです)なんか作っている場合じゃない、と衝撃を受けた(人生間違った原因だな多分)んですが見つけられませんでした。

バイブルサイズの二つ折りデバイスを広げると二画面液晶が現れてフルカラーでナビゲーション機能と通信機能を内蔵していて、なんて映像でしたね。(どなたかお持ちの方がいたらぜひご連絡ください)

通信機能を実装(Palmtopシリーズは音響カプラは搭載していた)した今でいうクラウドデバイスのはしりのような技術は1990年設立で2002年に倒産したGeneral Magic社が開発したMagic Capに見られます。これの初期モックアップにセルリアンブルーのタブレットとドックと受話器を組み合わせて置いた佇まいがまるで黒電話のようなフォルムに収まる美しいデザインがあったのですがやっぱり見つけられませんでした。(どなたかお持ちの方がいらしたらご連絡くださいませ)ちなみに同社はAndroidのアンディ・ルービンが居た会社でもあります。



ちなみに二画面液晶を搭載したデバイスはMicrosoftがつい最近まで開発していました。初期の実装モデルはCodexと呼ばれていて実に不細工です。


その後、とてつもなく洗練されてCourierと名を変えました。この映像はUXの勉強のために繰り返し見ましたね。



結局この魅力的な技術をMicrosoftは製品化しなかったんですが、この映像に惚れ込んだエンジニア達がKickStarterで資金を集めてCourierの魂の継承者とでもいえばいいんでしょうか、TaposeというCourierに非常によく似たアプリをiPad向けに開発してしまいました。このTaposeを使うためだけにiPad買ってもいいな、と思っている今日この頃だったりします。


ここまでいろいろ紹介してきましたが、1990年当時に予測されていたユースケースすら、2012年現在まだ完全には実装できていないことに気づかれましたか?vision 2019に追いつく現実を整備するのは結構大変そうです。だから面白い、とも言えますけどね!
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