2012年3月12日月曜日

未来の発明は順調か?その10

vison2019の2012年版1:48-2:02に短いけれども、とても印象的な決済サービス利用シーンがあります。地下鉄の駅でデジタルサイネージ内でパフォーマンスを披露している老人のコンテンツを購入する場面なんですが驚いたことに駅プラットフォームで購入動作をしている男性の方にパフォーマーの老人が目を合わせて会釈するんです。



3.1で紹介したような技術を使っている可能性もありますが、デジタルサイネージの位置に対して購入行動をとっている男性がどの方向に居るのかシステムは理解していることが前提になります。地下空間の場面ですから、高精度GPS/GISを前提にするわけにはいきませんので、決済端末(カード型のスマートフォン)位置を複数の基地局アンテナで測位して判定しているか、デジタルサイネージ画面にカメラ等のセンサーが仕込まれているのでしょう。(他にも方法はあるかもしれませんが)




決済場面も面白い仕組みを想定しています。一見NFCを使っているだけのように思えますがNFCの通信距離は10cm程度です。ここでは見たところ1m程度は離れた状態でデジタルサイネージに端末をかざして端末上にパフォーマのコンテンツがプレビューしていますから、端末側のカメラやモーションセンサーが連携してターゲットを判定した上でBluetoothなりWiFiなり他の伝送手段を併用して決済しているようです。金額は支払い側が決定しているので一種の投げ銭システムにもなっているようですね。

実は私もIndexに在籍していた頃、たしか2004-2006年あたりだったと思いますがFeliCaが2.0になると双方向通信が可能になると聞いて、携帯電話をPOSレジにしようとか色々考えていたんですが、とある会合で「青山表参道あたりで自作絞り染めTシャツなど売っているお兄ちゃんたちに現金以外の決済手段を提供できる」とぶち上げたら、彼らは所得捕捉されたくないから乗ってこないだろうと一蹴された記憶があります。

ところで、この映像はその問題も解決していますように見えます。パフォーマはネットを介して複数のデジタルサイネージに同時に出演することで収益機会を高めることができるようです。これがもしかしたら彼ら実演家が所得捕捉されてでもオンネットのステージを活動の場として選ぶインセンティブになっているのかもしれません。

もちろん、ストリートパフォーマの社会的地位が今後10年程度で劇的向上しているとは想定しにくいので、パフォーマの獲得する投げ銭で賄える程度までネットワーク化されたデジタルサイネージの利用コストが下がっているのでしょう。

今年のMWCでは今回取り扱っているようなケースの原型となるNFC搭載スマートフォンをリーダ・ライタとして利用する提案が多数ありましたが、私としては昨年11月にAndroid向けアプリのv3でNFCまたはBumpによる個人口座間の資金移動機能を提供し、MWC会期中にキャリアペイメント分野への参入を表明し、リアル店舗での決済サービス提供にも乗り出したPayPalが現時点ではvision2019で表現されたこの場面の担い手として最短距離にいるのではないかと考えています。
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